文春文庫「夢奇譚/アルトゥル・シュニッツラー著」(アイズ ワイド シャット原作小説)

Category : スタンリー・キューブリックの本/書籍・アプリ
スタンリー・キューブリック逝去後、「アイズ ワイド シャット(1999年)」公開直前に発売された文春文庫版「夢奇譚(ゆめきたん)」。ウィーンの医師で作家:アルトゥル・シュニッツラーによる“夢小説”や“ドリーム・ノヴェル”とも称される原題:Traumnovelleです。
●<夢奇譚 (文春文庫):Amazon

発売当時は“99年夏全世界公開!”の帯が掛けられており、これを見るだけで「いよいよ!」と言うテンションを熱烈に上げてくれるものでした。こういうモノは未だ見返すたびに当時の空気や匂いを思い起こさせてくれます。

さて、映画化までの経緯を少しだけ辿るとキューブリックがこの小説(原典)に出会ったのは1950年代、二度目の結婚相手であったルース・ソボトゥカから紹介されたとされています。その後「2001年宇宙の旅(1968年)」以降に映画化の動きがあり、1971年には製作着手が発表される一幕もあったとか。また、各種文献によると後年になって「アイズ~」として映画化が進む前まで、クリスティアーヌ夫人肝入りで“映画化反対”だったんですって。これについては夫人ご本人も幾度かコメントされています。他にもいろいろとドラマがあったらしいのですが、その辺は憶測含めてキリがないので割愛しましょう。

(ここから少しテーマネタバレ??注意)
90年代に入りいざ製作がスタートした際、この作品へのキューブリックによる公式コメントが発表されました⇒「幸福なカップルに存在するセックスについての矛盾した精神状態を探り、性的な妄想や実現しなかった夢を現実と同じくらい重要なものとして扱おうとした」。併せてよく語られたキーワードは“嫉妬”“葛藤”でしょうか。翻訳の所為なのか、とても一読しただけでは合点いかないコメントです。しかし読後に再びコメントを読み返すと、如何にこのコメントが的確で重要なものであるか解ります。“現実と同じくらい重要なものとして扱おうとした”、これが肝かな。人間って案外これらを意識下に置かず、現実ではないことや妄想・思い込みによって“知らずのうちに”ダメージを受けたり与えたりするもの。作品と実世界がどうリンクするかによってそれぞれ捉え方が異なるかもしれませんが、上記キューブリックのコメントにはこの作品の放つ希有な魅力が凝縮されているように感じます。撮影中は超極秘主義の上に作品完成4日後に逝去されたわけですし、「アイズ~」へ対するキューブリックのコメントって他作品に比べ極端に少ないんですよね。映画、および原作世界へうまく誘(いざな)ってくれる、本質を突いた貴重なコメントだと思います。

わたしは「アイズ~」劇場~DVD鑑賞で自分なりの解釈を見つけた後、やっとページを開いてじ~っくりと堪能。昨年も数年ぶりに読み返し、10数年前と今とで“こうも違うか”ってほど別次元の衝撃を受けました。琴線に触れる対象がその時分ごとで変わるなんて当然ですが、この作品はとくに内向的な心理を扱うからなのでしょう。わたしたちの実生活で抱えるリアルな心理・行動が、恐ろしくも可笑しくも、はたまた“いじらしい”とさえ思えてくるのです。また、月並みな締め括りとなりますが、親密な男女がこの作品を深く掘り下げだすと、いったいどの様な境地へ辿り着くんでしょうか。

テーマの事へ触れたのはちと反省。それぞれの素敵な解釈を願います。ちなみに上記写真は後発で発売された角川文庫版とのツーショット。わたしは文春版が読み易くて好きかな。しかし角川版には小説と併せてシナリオも同載されています。こちらについてはまた。
関連記事

「時計じかけのオレンジ」原作小説50周年催事およびミュージカル上演

Category : スタンリー・キューブリックの催事
イギリス・マンチェスターの国際アンソニー•バージェス財団が、2012年6月28日~7月1日に催した「“時計じかけのオレンジ”の50年/Fifty Years Of A Clockwork Orange」を閉幕された模様。以前こちら⇒●<「時計じかけのオレンジ」舞台ミュージカル化>で紹介した記事の追報でもあります。
FIFTYacwo.png
2003年に設立された国際アンソニー•バージェス財団/The International Anthony Burgess Foundationは、アンソニー・バージェスの人物像やその著作物に関する情報支援をしている慈善団体。今回は原作小説「時計じかけのオレンジ(1962年)」50周年企画として催され、講義・講演会・討論会・音楽会など硬派な演目が並んだとのこと。演目のキーワードを拾うと、ベートーヴェン、アート、警察、アンディ・ウォーホル、旧約聖書、スラング、翻訳の問題点などなどかなり濃い目のものが並んでいます。また、併せてスタンリー・キューブリック監督作品・映画「時計じかけのオレンジ(1971年)」、さらにはミシェル・シマンが監督に名を連ねた「時計じかけ~」ドキュメンタリー「Once Upon a Time… A Clockwork Orange(2011年)」の上映も。
●<催事プログラムリスト:公式BLOG
●<催事告知:公式BLOG
●<国際アンソニー•バージェス財団:公式HP

そして、当催事では幻のバージェス版“ミュージカル”「時計じかけのオレンジ」も初お披露目。舞台作品としてのミュージカルだったのか、音楽会の一環として上演されたのかは定かではありませんが、テノール歌手ティモシー•ラングストン演ずるアレックスと、マンチェスター室内合唱団演ずるドルーグが山高帽着用で挑んだとか。歌詞はナッドサッド語を含み、小説冒頭から度々登場する“What's it gonna be then, eh?”(日本語訳「そのあと、どうなるんだ、えぇ?」)をコーラスとして繰り返し使用。で、気になる歌のタイトルは「ultra-violence」「the old in-out」・・・。ちょ、バージェスこれ…。
●<音楽・A musical Clockwork Orange: BBC NEWS
●<記事・Clockwork Orange songs make debut:BBC NEWS

ちなみに、ロイヤル・シェークスピア・カンパニーによって1990年にミュージカル上演されたようですが、その際はバージェスの曲を使用せず、U2のボノとエッジによる楽曲で上演されたようです。これ、バージェスは批判的だったらしい。


ぐぁ~早くMacBookが使いたい(t_t)。ネット工事屋さん早くきて~!!
関連記事

「2001年宇宙の旅」ボーマン船長ことキア・デュリアのインタビュー【海外】

Category : スタンリー・キューブリックの話題
珍しや。英語のサイトですが、「2001年宇宙の旅」ボーマンことキア・デュリアの最新インタビューが掲出されていました。
Keir Dullea2001
リッジフィールドの映画協会により、キア・デュリア主演のフランク・ペリー監督作品「リサの瞳のなかに:原題デビッド&リサ(1962年)」が上映される絡みで執り行われたインタビューの様です。
翻訳しながら読んでみましたところ半分以上が「2001年~」の話題で、スタンリー・キューブリックの人柄や撮影現場の様子などを語っています。具体的には各種キューブリック文献で既出な事柄ですが、HAL9000との対話シーン撮影では助監督が台詞読みをしたこと、その声が英国訛りでマイケル・ケインの様であったことなど。しかし、キューブリックおよび映画「2001年~」について語るなど久し振りなのではないのでしょうか。
●<キア・デュリアのインタビュー:ctpost.com

現在は“ほんとに”白髪になられてニューヨークの舞台に出演されている模様。“舞台に興味を持っている”と締め括られています。
関連記事

米ロサンゼルスのスタンリー・キューブリック展、WEBページ&プレスリリースUP

Category : スタンリー・キューブリックの催事
軽めの投稿。
Image11.jpg
以前こちら<スタンリー・キューブリック展、アメリカ・ロサンゼルスにて開催>の投稿で触れました秋の催事につきまして、LACMA公式ホームページへ概要文がUPされております。UP後かなり後発しての投稿ですがご興味がございましたら。
●<スタンリー・キューブリック展:アメリカLACMA

・追記:プレスリリースが出されていました
  ⇒●<スタンリー・キューブリック回顧展プレスリリース:LACMA公式

きっと来場する監督やスターなどなど、これはこれで過去最大級の盛り上がりになるのではないでしょうか。
関連記事

X星人Tシャツ OR DIE!!!!

Category : 未分類
宝物BOXから懐かしいモノが出土しました。銀河系にひとつしか存在しない“X星人”Tシャツです。こじか中学時代には任意選択の授業クラスが週に一度だけ存在し、そこで選んだ「美術」クラスにて作りました。“シルクスクリーンで好きなTシャツを作りなさい”なんてお題を出すもんだからこじか大張り切り。
IMG_1601.jpg ←X星人T/size:M。
が、ほんとはTシャツではなく“肌着”・・・。当時のわたしはTシャツ=肌着だと思い込んでいた残念なヤツで、少ないお小遣いを叩(はた)いて間違った選択をしたらしい。「どうしてこのTシャツは生地が薄いんだろう??」と数年にわたり首を傾げていました。しかも追い討ちをかける謎のバックプリント仕様orz・・・悔やんでも悔やみきれない。尚、“X”の字が細いとか“星人”の英語解んなかったのかよって突っ込みは甘んじて受け止めます。、、、、、と、リアルにいま気づいたけど“N”逆じゃん…orz なんだコレ…。

バイザー着用と言うことで、見方によってはPOLYSICSのライブにも使えるとか使えないとか。肌着ですが。
関連記事

プロフィール

こじか

Author:こじか
こんにちは。邦画洋画を問わず映画ファンである以上に、スタンリー・キューブリックファンであるこじかです。わたくし自身が極めて神経質なネタバレ嫌いのため、作品への記述・画像にも同様の配慮を図り、映画論評も書かないスタンスで進めます。のんびりポジティブに。その他、好きなものも極たまに登場。よろしくお願いします。

スタンリー・キューブリック

投稿タイトルリスト ( ∞ )

↑「月別」表示のみ古い順から閲覧可↑

test

最新コメント

コメントありがとうございます

こじかの諸々

最新トラックバック

キューブリックLINK

こじかのオールスター

スタンリー・キューブリック
今村昌平
岡本喜八
成瀬巳喜男
増村保造
森田芳光
バスター・キートン
ウディ・アレン
ロバート・アルトマン
ミロシュ・フォアマン
ラース・フォン・トリアー
ジェームズ・キャメロン
ポール・バーホーベン
※何でも観ますが大嗜好はユーモア重視。

POLYSICS
DEVO
Perfume
有頂天
P-MODEL
ヒカシュー
戸川純
沢田研二
キャンディーズ
※ニューウェーブとテクノポップ、歌謡曲が好きです。

千秋
緒川たまき
※以上に千秋好き。

ドリフ
金八
MMA
Nikon FE
※この辺熱くなります。

ゴジラ
※元オタク。

(順不同)