公開から少しだけ経過したので今さら率直に言うと、
こじかはこの夏「風立ちぬ」を大絶賛しております。
ってことで先週お盆休みを頂きまして、翌日には「風立ちぬ」の劇場再見、
そして二十年ぶりの漫画本購入「風の谷のナウシカ 漫画版」を手にしました。

前者は劇場へ足を運ばれた方がこじか周辺にも多く、この半月間で「風立ちぬ」談義に割いた時間を総合計すると12時間くらいに上りそう。皆さん賛否入り乱れつつ、よくもまぁこんなこじかとの談義に付き合ってくれたものです。「ちょっと待って! 風立ちぬの話題に振れると話し長くなるよ」って何度言ったことか(笑) 賛否或いは好き嫌いはどんな作品にも存在する宿命なワケで、それでも声を大にして言いたいのは映画的質は抜群に良いという事。もう1カット、1シークエンス毎にギラッギラ。例えばカメラ位置、レンズ選び、被写界深度など技術的な演出テクニックだけでも疲れるほど詰め込まれてる。こんな事をアニメ映画で本格的に導入しているのは未だ高畑勲を含むジブリ映画だけなんじゃないだろうか。しかも今回特に面白いのが、この技術的な演出側面から「なぜこんな演出を?撮り方を?」っていう部分が散見され、それが観賞後に襲ってくるテーマ部分との対峙においてとても重要な働きをしてくれるという点。久し振りなんじゃないかなぁ、これだけ大衆相手を想定した作品で「え」「どうして」「なぜ」「何考えてんの」などたくさんの“?”を残してくれる映画。なんて事を書きつつやはりプロットに絡むネタバレは避けたいので終了。とにかく何が嬉しいって、上質な映画に凄まじい数の大衆が接触して良かった良くなかった面白い面白くないって声だかに発信してる、これが日本の映画文化にとっても素晴らしい出来事だと感じるワケです。ほんと素敵。
ひとつ付け加えるならば、真剣を携えて挑むような、そんな対峙するつもりで鑑賞した方がこの作品を体感できる気が。そして千尋もポニョも理解できなかったわたしとしては、そのスタンスで近年の宮崎駿作品を観ていなかった事を反省させられております。ちょっとハウルももう一回観なきゃねこりゃ^^;
そして後者、これはもう小学生の頃以来じゃなかろうか漫画本の購入「風の谷のナウシカ」。ホントはヤフオクでシリーズ大人買いしようと目論んでいたんですが、ブックオフに立ち寄ってみると1冊105円。ヤフオクでは1,500~1,800円ほどで落札されているというのに全7冊がヒラリと舞い込んで参りました。で、ここでもまた宮崎駿の凄さを知ったという。映画版は原作全編のプロットをなぞったものとばかり思い込んでいたので、まさか映画の物語が序盤だったとは。むしろこの壮大な世界観やテーマをよくぞあの1本でまとめたものだと、大友のAKIRAにも通づる再構築ぶりであります。がしかし、正直なところ漫画としての画づくりや台詞づかいはとても観づらいもの。平気でイマジナリーラインをがんがん超えるし原作漫画というより殆ど絵コンテのノリ。漫画家ではなくアニメ或いは映像演出の人なんだなって再認識を強く抱かされました。それを思うと、この監督さんはどういう形でこの演出テクニックを磨いたのか、触れてきたのか興味がわくところ。アイデアやイマジネーションに優れた方ですが、確かな映像演出術をもって挑んでいる点、やはり好評価にもまだまだ評価が足りていないんじゃないかとも思ってしまいます。
なんて書き殴りの本日。傑作「となりの山田くん」をこれまた数年ぶりに拝みながら、もうひとりの天才・高畑勲の新作映画が待ち遠しくて仕方がありません。
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