「スタンリー・キューブリック 写真で見るその人生/Stanley Kubrick A Life in Pictures」クリスティアーヌ・キューブリック編著/愛育社

Category : スタンリー・キューブリックの本/書籍・アプリ
趣味:映画よりも趣味:キューブリック映画という実際、昨日久し振りの知人とキューブリック談義になり最後にこう告げられました、「あ~、、(こじか)変態だわ」。今日もキューブリック愛を胸に、元気いっぱいこじかです。ご無沙汰しております。

さて帰宅後、前述の談義を経て早速手に取ったのはこちら、「スタンリー・キューブリック 写真で見るその人生」。同名ドキュメンタリー「スタンリー・キューブリック ア・ライフ・イン・ピクチャーズ(2001年)」の延長線上に存在する書籍で、同ドキュメンタリーがキューブリック作品のプロデューサーであるヤン・ハーラン監督&製作作品なら、この書籍はキューブリック夫人ことクリスティアーヌ・キューブリックによる編著作品。クリスティアーヌ夫人の弟がヤン・ハーランという身内包囲網ですから、その”愛情”たるや他のキューブリック関連モノと比べ物にならない次元から捉えています。と言うのも、この書籍は他のキューブリック評伝や作品分析とは一線を画し、初めてキューブリックという人物だけを“公開”しようという観点に尽くされているから。実際、生前のキューブリックは自身に関する事柄やメイキングの公開を望まないとする姿勢を貫いてきた事実がある。編著者クリスティアーヌ夫人の言葉にある通り、この本は至宝の”家族アルバム”であり、出会いから42年間に渡りキューブリックと共に過ごした最・近親者が世へ贈り出した究極のファンサービスだと言える。平たく述べるなら、キューブリック映画への探求は他の書籍がお勧めできるという別格の存在。
表紙 背表紙
では!恒例(?)の書籍本体紹介からスタート。
まず先(2002年10月)に発売された洋書版(画像左側)について。当時これも7000円~10000円くらいしたかなぁ、確か渋谷のタワレコ洋書コーナーで購入しました。書籍サイズは縦300㎜×横270㎜×厚2㎝弱という存在感のある変則大判サイズで、コート紙のカバー付き。製本仕様は上製本(糸かがり綴じ)、卒業アルバム同等の丁寧なハードカバー。本文は全192ページのボリュームで紙質はマットコートだろうか。大半のページがモノクロ写真で一部カラー刷り。iPhoneやリップは恒例の大きさ比較用。下記左画像は書籍の厚さ、右画像はカバーを外した様子。
書籍厚 カバーなし
書籍内容を率直に言えば”スタンリー・キューブリックという人物の写真集”。キューブリックが写るポートレートやメイキング写真、キューブリック撮影によるスチール作品がふんだんに収録されており、基本的にこれらの写真に関する2〜3行キャプションのみで構成されている、すなわち1時間と経たず読破可能。書籍のスタートにはキューブリックの”発言”が格言的に記され、スティーヴン・スピルバーグのまえがき、クリスティアーヌ夫人の序文と続く。キューブリックの年譜が6ページほど紹介されると、本編内容としてキューブリック生誕から「アイズ ワイド シャット」までが時系列で綴られている。”第1部 1928-1964”では、なんと(!)キューブリックの祖父母や両親の写真から「博士の異常な愛情(1964年)」までが並び、二人の前妻も含めざっくばらんとしたクリスティアーヌ夫人のコメントが差し込まれている。続く数ページの”インターミッション”はクリスティアーヌ夫人によるキューブリック肖像画などが紹介され、”第2部 1965-1999”では「2001年宇宙の旅(1968年)」から再開。ここからは、一般的に人気作が乱立することから写真自体も珍しいものは若干少なくなる。締めにはルイス・C・ブロー、ジョン・キャリー、テリー・セメルという、決して表立って語られることがないキューブリックの重要人物が紹介されており、この締め方こそ他の書籍にはできない(やらない)粋な演出。その後に付録として付けられる”配役とクレジット”は、決定版としてまとめられたものらしい。とてもシンプルな書籍だが、やはり可能な限りありったけのキューブリックを詰め込みたかったのだろう。奥様なりの謝意を存分に感じる部分である。
本文
そして、2004年7月に愛育社から発刊された和訳版(画像右側)。書籍サイズは縦200㎜×横180㎜程とコンパクト仕様だけど、ラストの”配役とクレジット”が英語表記である以外はすべて和訳されて原著そのまま! こちらのページ数が198ページあるのは、”配役とクレジット”のテキスト情報が小さくなりすぎない様、リサイズ調整され発生した配慮的誤差。また、上記画像の通り書籍の厚さが同じなのは本文ページの紙厚が重く強化されているからで、これにより過度なコンパクトさが抑えられ、原著が放つ”書籍作品としての重み”も維持されている。紙の厚さで印刷価格が大きく異なる実際、和訳版スタッフの配慮と意地を感じさせる素晴らしいハイライトである。尚、洋書版と和訳版の掲載写真の色合いにコメントするならば、洋書版は全体に黒が沈み過ぎた(洋書っぽい)ベタッとした写真が散見される一方、和訳版は若干だけ明るめに印刷されている。しかしその分でハイキーが少しトンでるように見えてしまうのも否めない。が、比較しない限りどちらも特段にして問題ではございません^^ ちなみに、こじかがキューブリック展へ渡米した際に帯同させたのはこの和訳版でした(^-^)/ 定価で税抜1,800円。よし、とりあえずみんなで買おう。
●<洋書版-Stanley Kubrick: A Life in Pictures:Amazon
●<和訳版-スタンリー・キューブリック―写真で見るその人生:Amazon

全編に渡って夫人によるユーモアのある書きぶりが素敵で、個人的には111ページにある健康ブレスレットの画像&テキストが特にツボ^^ また、第2部にある後年のキューブリック情報と比べると、第1部で記される若かりし頃のキューブリック”身内コメント”はとても奇特で興味深い。「ロリータ(1962年)」にあるドライブシーンのロングショットについて、実はクリスティアーヌ夫人がロリータ代役として乗車、なんてネタが公式発言として綴られる日がくるとは!


最後に、購買ターゲットが明らかに絞られるこの書籍を和訳・出版してくれた、日本のキューブリック伝導者こと浜野保樹氏へ最上級の敬意と哀悼の意を贈りたい。氏は、今(2014)年1月に故人となった。一度でも氏の生の声を拝聴する、それが日本のキューブリックファンとしてひとつの夢だった。万感とはこのことだ。
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こんにちは。邦画洋画を問わず映画ファンである以上に、スタンリー・キューブリックファンであるこじかです。わたくし自身が極めて神経質なネタバレ嫌いのため、作品への記述・画像にも同様の配慮を図り、映画論評も書かないスタンスで進めます。のんびりポジティブに。その他、好きなものも極たまに登場。よろしくお願いします。

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